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花咲くいろは 第06話 『Nothing Venture Nothing Win』

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「はい先月分。今月もよろしくお願いしますよ」

待ちに待ったお給料日。菜子にスイから給料が手渡されます。いくらもらったのかは秘密。それと同様に、緒花も仕事なりの給料が渡されました。
さっそく中身をあらためてみると緒花がもらった額は2万円。その額を見た菜子は住み込みだから家賃とか食事代とか引かれてるんだと思うよと
すかさずフォローを入れますが、緒花は2万円でも大喜び!今まで、家ではご飯作っても掃除しても洗濯しても8千円(年齢×500円)だったので
緒花にとっての2万円というのは、嬉しい額だったようです。「なこち。働くっていいね!」感動のあまり、菜子の手をとって緒花は言いました。

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「おはよう。ダメ旅館。おはよう。ダメ旅館の従業員」

給料をもらって俄然やる気になった緒花は、前にもまして仕事に励みます。早朝、菜子と二人で玄関先を掃除していると、凄い勢いでやって来た車。
降りてきた女性に声をかけられて、とっさに「おはようございます」と対応する菜子でしたが、「挨拶はいらっしゃいませ!接客業の基本中の基本!」
と注意されてしまいます。そんな彼女を呼んだのは縁らしく、彼女を出迎え、旅館の中へと迎え入れます。「…なんだか…あの人も掃除したい…」
そして縁は、経営コンサルタントの川尻崇子(かわじりたかこ)をスイに紹介しようとしますが、具合が悪いらしく、対応をしてもらえませんでした。

「只今ご紹介に預かりました、経営コンサルタントの川尻崇子です。この喜翆荘を立て直しにやってきました」

そこで今度は従業員を集めて紹介を行いますが、何だか歓迎ムードなのは縁だけで、蓮二や巴さんからは「知ってる」「知ってます」と冷たい言葉。
菜子の話によれば、どうやら崇子はだいたい月一で来てるのだとか。そしてそんな彼女が抜本的対策として提案するのは、この旅館の仲居のこと。
それを聞いた巴さんと菜子は、ガックリと肩を落とし、厨房組は仕事場へと引き上げていきます。先月は厨房組がレクチャーを受けたんだそうで…。
今日のプランは完璧だと言う崇子の案は…「仲居の服装を一新するの!」ということで、彼女は様々な奇抜なデザインの服を用意してきていました。
旧態依然とした仲居服のままじゃ、喜翠荘はいつまで経っても古臭いまま。最新ファッションでこの旅館のイメージアップを図るのが彼女の戦略。
「これで旅館の仲居さんはないんじゃないかな…」と緒花は言いますが、それが固定観念だと崇子は言います。淀んだ水にはゴミが溜まるだけ。
だから、挑戦あるのみなのだと、挑戦がなければ勝利もないと。「こういう挑戦って……アリ…かも」しかしやる気があるのは緒花だけのようです。
そんな話をしているのを、徹はじっと眺めていました。たまたま通りかかった民子に声をかけられ、彼は何も見てないと仕事に戻ったものの……

「……バカ」

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そうして崇子が持ってきた服に着替えた緒花と菜子が縁の前に現れます。これで挑戦になると自信満々の崇子ですが「私は挑戦したくないのに…」
と菜子は嫌そうな表情。というわけで、このファッションに適したお客様として、朝、到着する予定のお客から立花様という男性客を出迎える事に。
下の方に3名と書いてあるけど大丈夫なのだろうか…。と、噂をすればその客がやってきたため、早速緒花たちは駆り出されることとなります。

「いらっしゃいませ。お客様」

出迎える二人に格好を見て驚く立花さん……ですが、相手は3名のはずなのに、やってきたのは1名だけ。とりあえず緒花と菜子が荷物を持とうと
近付いたところ、彼は当惑し、緒花の上に倒れてしまいます。案の定、家族連れだったようで、そこへタイミング悪く奥さんと娘さんが現れました。
出迎えは大失敗、立花さんの奥さんには白い目で見られ、娘さんには「いやらしい」と言われる最悪の展開になってしまいました。「もういや…」
緒花と菜子は元の仲居服に着替えて、巴さんと一緒に土下座で謝ります。気にしないと言いつつ、何か父親の立場が低くなってしまったような…。

「やっぱ衣装選びに失敗したのかな?もっと際どいのにしておけばよかったのかなー?」

三人で学校へと向かう電車の中、何が間違ってたんだろうと呟く緒花に、「全部」と言う民子。教室では雑誌を読んでコスプレについて研究します。
結名にその事を話すと「やっぱり流行ってない旅館っていろいろ試してるんだねぇ…」と努力根性に感心しつつ、さりげなく毒を吐かれます。
諦めないで頑張ればきっと報われると言う彼女は、チャイナドレスのスリットももっと上げるなどの案を考えます。すると、そこに民子の鋭い視線。
(挑戦はいつも報われるわけじゃないのかなぁ…)余談ですが、このシーンで緒花が読んでた机の上の雑誌にさりげなくガルデモ写ってますよね?
そして帰り道。湯乃鷺駅に着くや否や、民子は走って旅館へと向かいます。遅れれば怒られるらしく、菜子と緒花もそれについていきますが…

「お前は怒られてろ」

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民子は夕食の仕込みを最初からきちんと覚えたいんだそうで、彼女に遅れて緒花達が喜翆荘に戻ると、崇子が、怒って去っていくのを目撃します。
必死に引き止める縁でしたが、スイは彼女のコンサルティングは不要だと言い放ちます。そうして去っていってしまった崇子を寂しく見送る縁。
ガッカリしている縁の様子が気になる緒花ですが、スイの「お前たち。おかえり」という言葉のプレッシャーをかけられ、菜子と共に仕事へ…。
崇子は大学の経営学科卒で大学院も出ているのだといいます。縁は大学に行っていた時にその崇子と知りあったらしいのですが、彼が焦る気持ちも
少しはわかると巴さんは言います。聞けばここ喜翠荘の経営もかなりやばいらしく、だからこそこの旅館には挑戦が必要だったのかもしれません…。

「でも、あの格好は嫌だなぁ」「あっ、なこち、別の服がいいの?」「んっ。違うー」

どっちにしろ、自分達が心配する問題ではないことだし、あんな変な格好をさせられるのはごめんだということで巴さんと菜子は帰って行きました。
二人を見送った後、やっぱり縁のことが気になった緒花は彼に声をかけます。落ち込んで頭を垂れる縁ですが、多少無茶をさせてる事も承知で
それでも自分だってこの旅館のことを考えていると言います。失敗したって何もしないよりはマシ。落ち込む縁の額に緒花はデコピンをしました。

「元気出せ!…ですよ。きっといつかうまくいきますよ」「皐月…姉さん?」

縁は、そんなことを言う緒花に姉の皐月の姿を見ました。皐月は縁が落ち込んでいると、いつもそんな風に根拠のない励ましをしてくれたのだとか。
「最低ですね」緒花は言いますが、「君の……ママじゃないか」それでも緒花の根拠のない励ましの甲斐あってか、縁も少しは元気が出たようです。
夜。喜翆荘のために自分でもできること、何かあるんじゃないか…。それを考えていた緒花は、民子にも一緒にコスプレをしないかと誘ってみます。
もちろん民子は拒否。「少なくとも徹さんは喜ぶと思う」と言うと「うるさい死ね!」と久々に言われます。死ねは駄目、だから「ホビロン!」

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(私にできる事…みつけなきゃ…!だって、このままじゃ2万円は胸張って喜べない…)

翌日。朝早くからスイの部屋に押しかけた緒花は、何か新しいことを始めてみるのもいいと主張します。具体的にどうするのかということを聞かれ、
「チャイナのスリットを深くしてみるとか…」と、見当違いなことを言ってしまった緒花は、速攻部屋を閉め出されました。ここが潰れてしまうと
自分は行き先がない…それを言うと旅館を追い出されてしまうので、傾くと言い直す緒花ですが、とうに傾いてるから気にしなさんなと言われ…。
そんなところで豆じいがやってきて、緒花を手招きします。景気はずっと良くない、それはスイも分かっているのだと言って彼が案内した先には…
素敵な衣装が並んでいました。それはスイが作ったものらしく、綺麗に手入れもされており、それを見た緒花は菜子を呼んでさっそく着替えます。

「どうしてそれを…」スイを始めとして二人の素敵格好には、厨房メンバーや巴さん、次郎丸、縁もビックリ。立花さんの娘さんも大満足な様子。
年配のお客さんの間でも評判は上々のようで、なじみのお客さん達からは昔、女将が着ていた服だと、懐かしがられ、これまた評判がいいようです。
馴染みのお客さんからは、この服は元々、スイが「何か新しい事を」といって用意したものだという話が出ました。まさに今の緒花と同じです。

「喜翆荘に歴史あり、ですね」

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(今朝の事で、明日からお客さんが増えれば良いけど…現実はそんなに甘くはないのかもしれない)

緒花はいつものように菜子と民子とともに登校します。朝食をとる徹は何かを思い出したかのようにニヤついており、思わず卵焼きを落とす蓮二。
遅刻しそうになる三人は急いで駅のホームへと向かいます。これからもこんな風に喜翆荘は続いていくのでしょう。私たちの喜翠荘はこれからだ!

(でも、何かをすれば、何かは起きる。この喜翆荘にとって、変わることが正解なのか、
変わらないことが正解なのか…。答えはわからないけど、何かができればいい。そんな事を、少し考えた)


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